俺妹の二次創作

最近何かハマってます。アニメ・原作ラノベ・コミカライズ、コンプしました。

「きょうちゃん、あのね、お願いがあるんだけど……いいかな?」と麻奈実はもじもじと上目づかいで言った。
「何だ。お願いって?」
「あのね、学校が終わったら家に来てもらっていいかな。お店の『ばれんたいん』のイベント用にお菓子作ってみたの。感想聞かせて欲しいなぁと思って」
「ちょっと待て、お前ん家は和菓子屋だよな。何でバレンタインなんだ?」
「最近はこういうのもアリなんだよぉ」
「マジですか!」
「それで……どうかな?」
俺の名前は京介。麻奈美は俺の幼なじみで俺と同じ高2だ、
正直麻奈美の家は自分家より落ち着くくらいくつろげるから普段ならぜんぜんOKなんだけど、
「ごめん、今日はやめとくわ」
「え〜っきょうちゃんの意地悪、最近、何かきょうちゃん冷たいよぉ」と泣きそうになる麻奈美。
「悪いな、ごめん」
・・・
学校が終わって家に帰る途中でメールが届いた。
携帯あけて見ると
「あっあやせ!だと」妹の友達でファッション雑誌の読者モデル仲間でもあるあやせからだった。
黒い長髪の美人でめっちゃ俺好みなんだよね。
どきどきしながらメールを開いてみると
「お兄さん、麻奈美お姉さんの頼みを断って泣かしたそうですね。

ぶち殺しますよ

私も麻奈美お姉さんのお手伝いをするので、お兄さんも来てください。絶対ですよ、
来なかったら……」
背筋がゾォッッとした。こいつは俺が極度の変態シスコンで妹の桐乃を狙っていると勘違いしていて
桐乃に手を出したらマジで殺されかねない怖いやつなんだ。
まあ、勘違いさせたのは「俺は妹が大好きなんだ!」と叫んだ俺にも原因があるけど。
「わかりました。すぐ行きます!」
あわてて返信して家に急いで向かった。
しかし情報早いな。そういえばこいつ麻奈美と仲いいんだよな。
麻奈美と俺をくっつければ、桐乃が兄の魔の手から救われるとか考えてんじゃないだろうな。
・・・
家に帰ってリビングに入ると桐乃はいつも通りにソファーに寝っ転がって携帯で誰かと話していた。
「……ただいま」桐乃はちらっと俺を見た後目を逸らしてそのまま話続けた。
ちぇっ無視かよ。まあいつものことだがな。
自分の部屋で着替えてリビングに戻ると桐乃はTVでアニメを見ていた。
「桐乃、あのな……」
「はぁ?何話しかけてんの。マジキモいんですけど!」
「俺、今日は麻奈美ん家に行くからって母さんにつたえといてくれ」
「地味子に何の用があるの?」不審そうな目で俺を睨む。
「今度『ばれんたいん』のイベントやるんだって。その手伝いにいってくるわ」
「地味子ん家は和菓子屋じゃない。何言ってんの?」
「俺に言われても困るんだけど……後あやせも来るって言ってたし」
桐乃はソファーから起き上がると駆け寄って来ておもいっきり蹴りを入れてきた。
「いってぇ!」
「あんた、なに人の親友に手をだしてんのよ。冗談じゃないわ。私も絶対ついて行くからね」
・・・
「こんにちは」麻奈美の家の玄関で声をかけた。
「きょうちゃん、いらっしゃい。あら桐乃ちゃんいらっしゃい」麻奈美は桐乃に気がついてにっこり微笑みかけた。
桐乃はそれを無視してぐいっと麻奈美を押しのけて玄関に入って行った。
お前、その態度は無いだろ。いくら麻奈美と仲が悪いからって……
「あやせ〜。居るの?」
「桐乃!どうしたの?」
「どうしたのはこっちのセリフよ。何であやせがここにいるの?」
「これには深いわけが……桐乃こそどうしてここに?」
「親友を変態の手から守るためよ」
はいはい。そうですか。俺はため息をついた。
「まあまあみんな上がって、こっちへどうぞ」麻奈美が応接間に案内してくれる。
「お茶菓子もでないの〜?和菓子屋なのに」と桐乃が麻奈美に聞こえるようにいやみったらしく言う。
「ばっバカお前は何いってんだ!」俺は桐乃の頭をこづく。
「はいはい。兄妹ケンカしないでね。今『ばれんたいん』のお菓子持ってくるから」そういいながら麻奈美は奥にひっこんだ。
・・・
「はい、これが『ばれんたいん』のお菓子よ」
「相変わらず凝ってるなぁ。この前のハロウィンの和菓子もすごかったけど。麻奈美が作ったの?」
「そっそうだよ。きょうちゃん気に入るといいなぁ」なぜか、真っ赤になる麻奈美。
「すごいですね」目を輝かせながら身を乗り出してくるあやせとは対照的にますます不機嫌になる桐乃。
「これマジうめぇ」一口食べて俺は本気で言った。
「ほんと?」喜ぶ麻奈美。
「私にも食べさせてください」とあやせ。一口食べて「ほんと!美味しい!」と麻奈美を見て微笑む。
「今年のバレンタインはチョコでなくてこれでいいよ」と俺が言うと
「『今年の』ですって。毎年もらってるの?」と桐乃が睨む。
「まあ『ぎり』だけどな」ハハハと軽く笑うと、麻奈美の(え〜)というジト目とあやせの(ぎりにしては手が込んでますよね〜)という視線。
「何よこのくらい私にだってできるんだから」と横を向く桐乃。
「ムリムリ。麻奈美は本職だぞ」
「そういえば、きょうちゃん。今日はどうするの?この前みたいに泊まってく?」ピクリと体をこわばらせる桐乃。
麻奈美はすごく嬉しそうに「この前は、久しぶりに子供の時みたいに同じ部屋で一緒にねたんだよね。懐かしかったぁ」
それを聞いて青ざめる桐乃。
「あ、あんたって人は!どこまで変態なの。このエロ兄貴!」そう言いながら俺の背中に蹴りを入れる。
「いてぇ。何すんだよ」
「もういい。帰る。こんな変態と一緒に居られない!」玄関に向かう桐乃。
「桐乃ちゃん」
「桐乃!」
「ほうっとけよ。あんなやつ」まったく何考えてんだかわかんねえ。
・・・
翌2月14日の朝。
俺は家のリビングで朝食を食べていた。
麻奈美は家に泊まれって言ってくれたし、あやせも泊まると言ってたので、本当は泊まりたかったんだが、
麻奈美はともかくあやせと一緒に泊まったなんてことになったら桐乃にころされるのは『確実』なので、
泣く泣く家に帰ったわけだ。

「……おはよう」2階から降りてきた桐乃に声をかける。
相変わらず無視かよ。
桐乃はそっぽを向いたまま、ぐいっと紙袋を俺の目の前に差し出す。
「なんだ?これは」
無言でそれを俺の手の中に押し込む桐乃。
「開けるぞ」中には……
「これお前が作ったのか?」中には手作りらしきばれんたいん和菓子が入っていた。
桐乃はさらにそっぽを向くと、「勘違いしないでよね。これはバレンタインでは無くて、
アタシの方が地味子より上手に作れるって証明しただけなの」
「あ……ありがと。食べていいか?」「あたりまえでしょ」
一口食べてみる。桐乃が不安そうな目で見つめる。
「うまい!麻奈美のと違って一生懸命作ったって感じがいいよ」
「なっなに言ってんのよ。このバカ兄貴!」桐乃は真っ赤になって怒り出した。
「べーっだ」
うそだろ。ちょっとドキっとした。
まさかな。俺の妹がこんなにかわいいわけがない。